ブランコで出会った女の子

5月にしては暑さを感じる日だった。

 

鳥に近づきたくて、一瞬の無重力を味わいたくて、最後に乗ったのは何時だったかなど思い出せないほど久々にブランコに乗った。

度々起こる事故を「起こさないように」遊具が撤去されていった数年間。

今ブランコがある公園はいくつくらいあるのだろうか。

 

ピンクチュニックにジーンズを履いたの4歳くらいの女の子。

おじいちゃんと遊びに来たのだろう。

ベンチに座りお茶を飲んで休憩としていたと思ったら、こちらを見てそろりそろりと近づいて、ぴょんと跳ねるようにブランコにのる。

足が地面につかないから、カチャカチャと金具がなるだけ。

 

トンっと背中を押すと体がふわりと浮かぶ。

驚いたようにこちらを向いた少女に「怖くない?」と聞くとぱっとした笑顔で「うん!」と言って前を向く。

お互い無言で背中を押して、押されて上に浮かぶ。

何回か繰り返したころにおじいちゃんが「相手してもらってすみません。代わります。」とこちらに来たのでバトンタッチ。

きゃっきゃとはしゃぐ少女の声。

やはり知らない人は緊張してたのだろう。

 

悔しいような、微笑ましいような気持ちを抱えて、ブランコから離れる。

 

あと何年、あんな風景が見られるのだろう。